言語グリッドプロジェクト

  • 言語グリッドの目標は何ですか?

    インターネット上に存在する様々な言語サービスのアクセシビリティとユーザビリティを向上させることを目的にしています.これにより,各国の標準言語を繋ぎ多言語の相互変換を可能にします.また,異文化コラボレーション現場での,コミュニティ言語資源を蓄積し,連携を可能とします.専門家に加えて,多くの人々が作り出す言語資源や言語処理機能によって,言語の壁を越えるのが最終的な目標です.

  • 言語グリッドのプロジェクトに協力したいのですが,参加できますか?

    ぜひご参加ください.様々なコラボレーションの形態が可能です.詳しくは言語グリッドプロジェクト(langrid [at] khn.nict.go.jp)にお問い合わせください.

  • NICTのユニバーサルコミュニケーション技術戦略とは何ですか?

    総務省のUSN戦略プログラム(Ubiquitous Network Society)に基づきNICTが作成した,次期研究計画のうちの一つである知的創発プログラムを実現するための技術戦略のことです.言語,文化,身体能力等の壁を超越することのできるコミュニケーション技術の開発を目指しています.

  • 異文化間コミュニケーションではなく異文化コラボレーションと呼ぶ理由は何ですか?

    21世紀は世界の文化衝突を防ぐことが重要な世紀です.コラボレーションという目的指向の国際的な活動を支援するため,活動グループに特化した言語サービスを容易に構築できる環境を開発したいと考えています.

  • 異文化コラボレーションにとって,言語の壁はとても重要な課題だと思いますが,それ以外の課題に対しても取り組んでいくのでしょうか?

    このプロジェクトは,オープンラボを通じて大学,企業やNPOと連携していきます.このプロジェクトは言語サービスを提供する言語グリッドに集中しますが,言語グリッドを用いた異文化コラボレーションの様々な研究は,大学やNPOで行われます.

  • 国際的な連携を必要とするプロジェクトだと思いますが,連携する予定がある海外の機関はどこでしょうか?

    欧州ではドイツ人工知能研究所(DFKI)を始めとする仏独伊のランゲージトライアングルと連携してプロジェクトを進めていく予定です.アジアでは今後,連携先を探していきます.中国の清華大学,上海交通大学,韓国のKAISTはその候補です.また国際的なWordNet活動とも連携していきます.

言語グリッドの機能

  • アジアの10言語程度,世界全体で20言語程度とありますが,具体的には,どの言語を想定していますか?

    アジアの10言語として,日本語,中国語,韓国語,タイ語,ベトナム語,インドネシア語,タガログ語,ヒンディー語,アラビア語,ペルシャ語を検討しています.またヨーロッパの言語として,英語,ポルトガル語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語,ロシア語,ギリシア語,オランダ語などを検討しています.

  • 様々な言語サービスを組み合わせる利点は何ですか?

    インターネットに大量に蓄積された言語資源を活用するためです.異文化コラボレーションの活動現場に適した言語サービスを構築することができます.

  • 言語グリッドのワークフローは誰でも簡単に作成できますか?

    現時点ではワークフローに関する(特にBPEL4WS)知識が必要となります.今後,シナリオ記述言語やGUIを導入することによって,簡易な記述を可能としていきます.

  • 既存の機械翻訳よりも良い結果が得られますか?

    言語グリッドは既存の機械翻訳を利用可能とするものですので,言語グリッドによって機械翻訳の精度が向上するということはありません.しかし,特定の分野に対し用例対訳を充実させる,それを言語グリッドを使って機械翻訳と組み合わせることによって,機械翻訳単体より精度の高いサービスを生み出すことができます.

  • 自分たちの持っている言語資源や機械翻訳などの言語処理機能を,言語グリッドに登録できますか?

    はい.Webサービス化されたものであれば,言語グリッドへ登録できます.今後,Webサービス化を簡単に行えるよう,ラッパーの構築支援系を研究していきます.

  • 水平型言語グリッドと多言語機械翻訳システムの違いはどこにありますか?

    水平型言語グリッドは,オープンな環境で多言語機械翻訳システムを開発する一手法です.水平型言語グリッドは,言語サービスを自由に組み合わせることができますので,機械翻訳だけでなく,機械翻訳の存在しない言語対に関しては,対訳辞書による変換を組み込むことなどができます.

  • 水平型言語グリッドで使用される辞書と垂直型言語グリッドで使用される辞書の違いは何ですか?

    専門家が作成した汎用的な辞書か,現場に近いところで作成される特定領域の辞書かの違いです.

  • 言語グリッドに文化の壁を越えるための機能はありますか?

    言語グリッド自体には文化の壁を越えるための機能は組み込まれていませんが,ジェスチャーの翻訳などを言語資源として定義すれば,言語グリッドの枠組みで,文化に依存した表現行動をある程度扱うことはできます.

  • 言語グリッドにコラボレーションを支援する機能はありますか?

    言語グリッドプロジェクトは,言語グリッドを用いたコラボレーションツールを提供します.チャット,BBS,ブラックボードなどを準備しています.順次開放していく予定です.

  • 言語グリッドはグリッドコンピューティングと関係がありますか?

    はい,言語グリッドはグリッドコンピューティングを言語サービスに適用したものです.一般にグリッドとは,「分散した資源を連携させ,オープンスタンダードなプロトコルが利用でき,質の高いサービスを提供できるもの」と定義されています.言語に関するグリッドは,この提案が世界で初めてです.グリッドコンピューティングでは,近年Webサービスの適用が進められていますが,言語グリッドでも各種言語サービスをWebサービスとして実装していきます.

  • 言語グリッドの機能に関する今後の研究課題にはどのようなものがありますか?

    言語グリッドにより言語サービスが連携されたとき,そのサービスの品質をどのように推定し保証するか,すなわち複合サービスの品質の推定は今後の研究課題です.また,コミュニティで開発される言語サービスの作成支援系も今後の研究課題です.対訳用例や対訳辞書のみならず,絵文字の辞書などユニークな言語資源の作成支援も検討していきます.

言語グリッドの利用

  • 言語グリッドを利用するにはどうすればよいですか?特別なツールが必要でしょうか?

    言語グリッド自体はWebサービスとして提供されますので,一般的なWebサービスクライアントから利用可能です.また,言語グリッドを利用するコラボレーション支援ツールの提供も予定しています.言語グリッドによる複合サービスの構築には,ワークフロー記述が必要になります.ワークフローの記述はBPEL文書を出力する既存のワークフローエディタを利用することで実現できます.現在,言語サービスの連携に特化したワークフローエディタの開発を進めています.

  • 一般のユーザが利用可能になる時期を教えて下さい.

    2006年度半ばから試験的に開放を始め,2008年度末に完全に開放する予定です.

  • デモで示されたチャットやブラックボードなどのツールはどこでダウンロードできますか?

    2007年12月以降,非営利目的での利用に限り,京都大学運営組織と覚え書きを交わした組織へ公開しております. また,期限付きのトライアル版を公開する予定です.

  • 言語グリッドは無料で利用できるようになりますか?

    試験的に開放する言語グリッドの利用は無料です.将来的には,利用する言語サービスにより,料金が発生する場合があります.

  • 言語グリッドによって,機械翻訳などの利用料金は低減されそうですか?

    言語グリッドの運営組織が,様々な言語サービスを一括して言語グリッド上で多数のユーザに提供することにより,単価が下がると考えています.

  • 言語グリッドはオープンソースですか?

    システムはオープンにしていきますが,ソースの公開については現在検討中です.

  • 費用をかけて構築した言語サービスを他者に無料で公開するインセンティブは何でしょう?

    企業にとっては,ユーザ数が増大し使用量収入が増すと考えています,多くのユーザからのフィードバックを得て自社製品の改良への指針を得ることができると思います.Webと同じように,言語グリッドへ提供することによりプレゼンスを向上させることもできます.また,NPOにとっては,開発した言語資源を多くのユーザに提供できます.将来的には,Wikipediaのように人々の総力で言語資源や言語処理機能が構築されていくと思います.

  • 言語グリッドをどのような形で管理・運営していく予定ですか?

    言語グリッドの研究開発が一段落する2008年度末を目標に,運営組織の設立を検討しています.

  • NPOが開発する言語サービスとはどのようなものですか?

    NPO個々の活動内容に応じた様々なサービスです.言語グリッドプロジェクトでは,医療通訳ボランティア支援,子供のコミュニケーション支援,多言語放送番組制作支援を当面の課題として,それぞれの活動に必要なサービスを構築しやすい環境を整えていきます.

  • これまでも医療現場などでは多言語の対訳システムが作られてきましたが,言語グリッドはそれよりも優れているのでしょうか?

    言語グリッドは医療対訳システムではなく,言語サービスを連携させる枠組みです.言語グリッドにより,専門家が作成した用例対訳と,NPOや医療現場で開発した用例対訳を連携させて用いることができるので,簡単に拡張性のある医療対訳システムを構築できるようになります.

  • 言語グリッドの利用に関する今後の研究課題にはどのようなものがありますか?

    言語グリッドを介して有料の翻訳サービスを利用する場合の料金体系など,ビジネスモデルの検討が必要です.また,営利企業が多言語サービスを開発し,言語グリッド上でサービスを提供できるよう,課金などを含め今後検討していきます.